精神の三角 ~雫(しずく)~

Written by ASUKI

 

 透き通るような青い空……

 

 僕は屋上にいた。

 つい二ヶ月ほど前のあの事件も、僕の記憶の中からはすっかり色褪せてしまっていた。

「祐クン」

振り向くと、そこには沙織ちゃんがいた。

「何してるの?」

彼女の流れるような綺麗な髪が風になびく。

「いや、なんとなく……かな」

「ふーん」

彼女はそう言うと、すたすたと歩いてきて僕の腰に手を回した。

「瑠璃子さんのことを考えていたの?」

「そうだね……」

二ヶ月前のあの日、僕達はひどい目に会った。電波を操る月島さんによって沙織ちゃんなんか死にそうになった。

でも、瑠璃子さんが助けてくれた。

 

その後、僕達はそのまま帰ってしまったから分からない。

 

後日、その件に関わった5人は全員ほぼ帰らぬ人となった。

瑠璃子さんが電波で自分と月島さんの精神を破壊してしまった。

 

「僕は、屋上でまた会うと約束した。でもあんな形で会うなんて……」

その言葉に対して、沙織ちゃんは僕の腰に回した手に力をこめた。

「いいんだよ。祐クンは悪くない。だからそんなに悩まなくていいよ……」

 

彼女の抱擁に僕は何も答える事は出来なかった。

 

「今日、僕は瑠璃子さんのお見舞いに行くけど、沙織ちゃんはどうする?」

「私、今日バレー部だから……」

「そうなの…それじゃ仕方ないね」

「ごめんね……」

「別に謝る必要なんて無いってば」

……。

 

 

 

 その日の放課後、僕は手近な花屋で花束を買って瑠璃子さんの病棟に訪れた。

彼女は以前と変わらない、狂気の瞳をしたまま眠るように横たわっていた。

「瑠璃子さん……」

小さい声で呟いた。

暖かい午後の日差しが入ってくる。

「電波…届いた?」

その声が耳に、脳裏によぎってくる。

「瑠璃子さん、本当の電波って何なの?」

返事が返ることは無いと知りつつも、僕は聞いていた。

「本当は電波は人に害を与えるために使う物じゃない筈でしょ?」

瑠璃子さんのその髪を撫でながらまた聞いた。

「それに、瑠璃子さんだって生まれた時から電波を使えたわけじゃ無いんじゃないの」

さらさらと風が吹いた。

僕は涙を流していた。

「ねえ・……教えてよ……」

「だーれだ?」

「うわあっ!」

急に目の前をふさがれて、僕は思いっきり戸惑った。

「えへ」

そこには、悪戯っぽい笑みを浮かべながら沙織ちゃんがいた。

僕は、涙を悟られないようにそれとなく拭いながら尋ねた。

「沙織ちゃん……バレー部じゃ無かったの?」

すると、えへへと笑いながら

「うん、休んじゃった」

それを聞くと、なんだかおかしくなってきてつい

「ふふふ」

と笑ってしまった。

「沙織ちゃんらしいや」

そう言うと、彼女は頬を膨らませ

「らしいって何よぉ~」

と言っても目は笑っていた。

 

しばらく、病室に笑いがこだました……

 

すると、沙織ちゃんがふっと真面目な顔になり、

「瑠璃子さんの様子は?」

「うん……」

そうとしか返事は出来なかった。

「いつ見ても、すがすがしそうだね」

「そうだね……」

僕はふと沙織ちゃんを見た。彼女は、瑠璃子さんの様子を屈みこんで見ている。

「今ごろ何やってるのかな……」

「きっと、ぼろぼろになった月島さんの心の中で彼を癒しているんだよ。あの時のようにね。

これからもずっと、ずっと……」

その言葉は中断を余儀なくされた。

沙織ちゃんが、背中から僕に抱きついたから……

 

「祐……クン」

「何……?」

 

すると、彼女は僕の前に回って

「私、祐クンがあんなふうになるのはいや。だから…だから……」

「沙織ちゃ……」

その言葉を言い終わらないうちに、彼女は僕にキスをした。

 

 

 

 

6時ごろ。

徐々に明るくなってきたとはいえ、この時間になってしまえば周りはほぼ真っ暗だ。

 

「祐クン……」

公園に差し掛かったあたりで、沙織ちゃんが話を切り出した。

「ずっとずっと、一緒にいようね……」

「うん……」

みると、沙織ちゃんは微笑みながらこっちを見ている。

「ぜーったい?」

「もちろん」

「嘘じゃない?」

「当然だよ」

すると、彼女は僕に身を寄せてきた。

「良かった……」

彼女が僕の周りに手を回してきた。僕もそれに合わせる。

 

しばらく、時が停まった……………

 

 

その途中、ふと頭の中にちりっとした電波のようなものを感じた。

 

しかし、それは前のように苦痛を伴うような物ではなく、暖かさを感じさせた。

 

僕はふと、これが電波の本当の使い方なんじゃないかと思った……

 

 

この時期、徐々に暖かくなっていくとは言え、この時間になるともう寒い。

 

僕達は、お互いのぬくもりを共有するようにただ抱きしめあっていた……

 

 

 

                                <FIN>

 

---------------------------------後書き--------------------------------------------------------------------------------------------------

はじめまして。私はASUKIという者です。

いつも楽しくあなたのHP上に展示している〝たさいシリーズ〟を楽しく拝見させて頂いております。

今回、そのお礼と言う事でこれを投稿させていただきました。

処女作なので非常に稚拙ですが、載せていただければ幸いです。

まだ開く予定とはいえ自分のHPも持たない若輩者ですが、これからもよろしくお願いします。

 

それでは、今後も益々の〝たさいシリーズ〟の発展とHPの進展を心よりお祈りしております。

 

 

 

 

 

 

おまけですぅ (一発ネタ、To Heart+時事物)

 

某所にて

 

藤田浩之(以下浩之)「マルチ、こんなところで何をやっているんだ?」

マルチ「あっ、浩之さん。今このバケツの中をそこのタンクの中に移す手伝いをしているんです」

浩之「そーかそーか。あっ、そうだ。俺も手伝うよ」

マルチ「は、はわわわっ。そんなの悪いですぅ」

浩之「ははっ、そんなの気にするなって。で、これを何処に入れるって?」

マルチ「あ、そこのタンクです」

20分後

浩之「……?」

マルチ「どうしました?」

浩之「いま、何か青い光が見えなかったか?」

マルチ「そんな事無いですけど~?」

浩之「それにこのタンク、一体なんだ?」

マルチ「たしか沈殿槽とか言っていたような……」

浩之「……!!じゃ、まさかこのバケツの中は……!!」

マルチ「たしかウランとかプルトニウムとか言っていたような……」

 

                                    ~end

 

教訓……放射性のある元素の取り扱いは慎重に。

浩之「シャレになってねえ~~~~~~~~~~~!」

 

 

 私の友達から教えてもらいました。

 

 

 

 


 ども!! Hiroです\(>w<)/

 とってもナイスな『雫』SSを頂きました。

 さおりんが可愛いですぅ~♪
 とっても健気だし。

 いや~、こんな娘に愛されてみたいやね(^ ^;

 ASUKIさん、ありがとうございました\(^▽^)/


 おまけについては…………ノーコメントです(^ ^;


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